土 19 4 月 2008
NPO緑の風が4月から毎月、かごしま遊楽館で行なう『屋久島移住セミナー』。第1回の4月19日は、3組の新起業人をご紹介する。
最初は、養鶏業「村上農園」を経営する村上和也さん、圭子さんご夫妻。共に30代後半。サラリーマンから農業の世界に転じ、2年前屋久島に移住してこられた。
「半農半木工の暮らし」を目標に、鶏を飼い、畑を耕し、玉子の販売と自給自足的生活を営んでおられる。

兵庫県出身の和也さん。証券会社に勤務中、圭子さんと知り合った。二人とも釣りが大好きで、屋久島には度々海釣りに来たという。和也さんは、会社に入って直ぐの20代、屋久島がまだ世界遺産に登録される前に来て以降、毎年1回は訪れているそうだ。そして、何度も来島するうちに移住を考えるようになった。
和也さんはその後、兵庫の養鶏場で7年間働く。以前からもの作りが好きで、自然の中で物を作る生活をしたいと考えていた。会社勤めを続けることに疑問を感じていた頃、転職情報誌でピンと来るものがあって養鶏の仕事を決断したという。

10数年前、楠川の山手に土地を買い、3年前に家を建て、2006年4月憧れの屋久島生活をスタートさせた。
都会人が就ける仕事が島には少ない現実を、行き来する中で知っていた和也さんは、「まず自分に出来ることをやってみることにしよう。鶏と木工だ」と、半農半木工をめざすことにした。初めに手がけたのは鶏小屋。和也さんの手作りだ。
村上農園の養鶏は、平飼いと言って鶏を自然の土の上でのびのび育て、安全でおいしい玉子を産んでもらう。もちろん有精卵。飼料は出来るだけ、農園で作る有機栽培のものを使う。
ホームページの「村上式養鶏法」の項目に、「天気の良い日には林の中で放し飼いにする。鶏舎内外に出来るかぎり自然を再現させる」と説明がある。

島の東部の楠川地区は、ガジュツ、焼酎芋、お茶、最近はパッションフルーツの生産が盛んなところ。役場に相談して畑を借り、自給自足の体制も整えた。
玉子は現在、ほとんどが島内販売だ。宮之浦の自然食品店みみ商会などに置いてある。島から本土への運賃が、島外出荷へのハードルとなっている。和也さんは独学でホームページを作り、これからネット販売を伸ばしたいと言う。
野菜作りと養鶏の合間に、好きな木工をやるための作業場をいま製作中。和也さんは、一歩ずつ目標に近づいている。
奥様の圭子さんは、勤めに出ながらも和也さんと一緒に農作業をし、農園を支えている。ここに来た頃は草木が茂っていたが、鶏が雑草を食べてくれたので大変きれいになったと明るく笑う。
ご主人は慎重派、奥様は楽観派と互いを言う。農園の整備で忙しく、好きな堤防釣りに行く時間が取れなくて残念と語るご夫婦だ。

地球温暖化や食料自給率低下、都市と地方の格差が言われ、農業振興と地域振興のため、国も地方への移住促進に力を注いでいる。しかし、都市から地方へ人口移動はなかなか進まない。地方に仕事がないことが一因だ。若い人のしたがる仕事が特に少ない。
その中で、農業に真剣に取り組む村上さんの例は貴重だ。高い運賃が生産品の価格を上げてしまうなど離島の現実は厳しいが、まっすぐ前を向いて進む姿はすがすがしい。
「地元との付き合いは、自分のできる時できる範囲のことをやるというスタンスで」と、これから移住する人へのアドバイスをいただいた。
村上農園について詳しくは、次のホームページをご覧ください。
屋久島たまご工房ホームページ
http://www4.ocn.ne.jp/~tamago/
ブログ「屋久島発 半農半木工の日々」
http://ameblo.jp/k-woodcraft/
(続く)
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